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初恋を奪った皇太子は、私を逃がさない
第2章 禁断の庭園
私はただ、その背中に従っていた。

恐くはなかった。

けれど、息が詰まるほどの緊張が、身体を包んでいた。

(……殿下は、何を考えておられるの?)

それを知る術は、まだ私にはなかった。

ただ、ひとつ確かなのは──

これが、ただの“散歩”ではないことだった。

「ここなら、二人きりで話せるね」

アレクシス殿下が静かにそう言って、手を伸ばした先にあったのは──

庭園の奥にひっそりと佇む、ガラス張りの温室だった。

(……密室?)

その言葉が頭に浮かんだとたん、息が詰まった。

誰の目にも触れない空間。

しかも夜の温室なんて……まるで、世界から切り離されたような場所。

「……っ、あの……」
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