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僕の母さん
第11章 それぞれの姫始め
テーブルにところ狭しとおせち料理が並べられて、
準備が整ったのを待ち構えていたかのようにインターホンが鳴った。
「はい…」
真弓が応答すると、
「すいません、図々しくお邪魔しに来ました真壁です。
エントランスで辰巳と会ったので彼も一緒です」とスピーカーから男の声がした。
「どうぞ、鍵は開けておきますので」
真弓がそう言って、佐智子に「来られたわよ」と告げると
佐智子と真弓は一斉に手鏡でメイクに不手際がないかチェックし始めた。
「どちらかが真弓おばさまの彼氏ね」
耳に入れたくもないのに、彩也香が興味本位でニヤニヤしながら達郎に教えてくれた。
しかし、インターホンを鳴らした真壁が佐智子の彼氏だと知るよしもなく、彩也香は妙に落ち着いて動揺する達郎の顔色を見て愉快そうに笑っていた。
ほどなくドアが開いて「明けましておめでとうございます」と二人の男が顔を覗かせた。
「いらっしゃい。お待ちしておりましたわ」
二人を出迎えた真弓がイソイソとリビングに戻ってきて、彼女の後ろからやけに背の高い二人の体格のいい男が「お邪魔します」とリビングに足を踏み入れた。
年齢的に見て、達郎は真壁が母の相手だと思ったのだが、
彼の背後の若い男が「やあ、君が達郎くんだね?よろしく、辰巳です」と名乗ったものだからビックリして腰を抜かすところだった。
なにせ、まだ大学生の辰巳が母の相手だと知ったからだ。
母とは年齢的にも似つかわしくない。
どちらかというと、達郎にとっては兄と言ってもいいような若さだったからだ。
「ほら、達郎。辰巳さんにちゃんとご挨拶なさい」
母の真弓に促されて、ハッと我に返った達郎は「初めまして達郎です」と癪に触ったが、一応、母の顔を立ててやるために頭を下げた。

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