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僕の母さん
第3章 一度だけだからね

『こんなものでいいかしら…』

支払いを済ませようとレジに向かおうとすると、
背後から「真弓ぃ~」と声を掛けられた。

『マズイ相手に見つかってしまったわ…』

無視するわけにもいかず、
覚悟を決めて振り返ると、案の定、そこにはインストラクター仲間の佐智子がカートを押しながら近づいてきた。

そうか…佐智子は早番だから、エアロビクスのレッスンが終わったのね。

「あんたも夕飯の買い物?」

そう言いながら佐智子は真弓のカートの中を覗き込んだ。

「わぁ~お!スタミナ料理のオンパレードっていう感じの食材ね。息子さんに一発やらせてあげて、案外と気持ち良かったからスタミナをジャンジャンつけさせようって魂胆?」

「ちょ、ちょっと佐智子!
人聞きの悪いことを言わないでよ!」

ただでさえスーパーには井戸端会議が好きな暇そうな奥さま連中がゴロゴロしているのだから『一発』だの『スタミナ』だの、セックスを連想するワードは控えてもらいたかった。

「聞かれたところで、誰も息子相手にエッチしてるなんて思わないわよ。そう言うのはね、官能小説の中だけのお話なんだから」

「えっ?じゃあ、あんたが私にしてくれた助言って…」

「もちろん冗談に決まってるじゃない
やだ、あんた、もしかして真に受けて息子さんとマジでヤっちゃったの?」

「も、もちろんスルわけないじゃない!」

そうだったんだ…彼女なりのジョークだったんだ…
それを真に受けて、私ったらオナニーの手伝いもしちゃったし、
今夜はついに挿入まで約束しちゃったじゃないの!

なんとかその場をやり過ごしたものの、
やはり世間的には近親相姦なんてご法度なんだわと思い知らされた。
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