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僕の母さん
第6章 股間を舐める

夕食はとても豪勢だった。
しかし、こんな山あいの温泉地なのに、
なぜか刺身の舟盛りが出てきたりして、山菜料理は少なくて情緒に欠けた。
漁港が近ければ新鮮な刺身が味わえるのだろうが、
こんな山の中なのだからもちろん刺身は冷凍ものに違いない。
それでも日本酒派の佐智子は冷酒をぐいぐいとあおりながら「美味しいわ」と上機嫌だった。
佐智子は「あなたも呑みなさいよ」と下戸の真弓にもどんどんとお酒を勧めた。
「私、そんなに呑めないのよ」
グラスを裏返して、お酒を注ぐことを拒むことも出来たけれど、長距離を一人で運転して、ここまで連れてきてくれたので断りきれず、佐智子と同じようにどんどんとグラスを空けてしまう。
案の定、真弓は酔いつぶれてしまい「悪いけど少し横になるわ」と言うや否や、真弓は大の字になってグーグーと大きなイビキをかきはじめた。
「ほんと、だらしないんだから」
そう言う佐智子も、いつもよりピッチが早かったのだろう、
私も失礼して横になるわと言うと、真弓と同じように大きなイビキをかきはじめた。
「大人ってしょうがないな」
達郎は部屋の内線電話を使って仲居さんを呼び、食卓を片付けてお布団を敷いて欲しいと願い出た。
「あらあら、長旅でお疲れになったんでしょうかね」
仲居さんは酔いつぶれた二人に哀れみの眼差しを注ぎ、
テキパキと食卓を片付けてお布団を敷いてくれた。
 

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