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僕の母さん
第7章 母、真弓の憂鬱

「お疲れさまです」

顔を真っ赤にして緊張している佐智子に成り代わって真弓が挨拶を交わす。

「疲れたってもんじゃないぜ
夏休みだからって、どいつもこいつも自分の子をスイミング教室に通わすものだからこっちはてんやわんやだよ」

真壁は、自分のスポーツドリンクを飲みかけて
「おっ!いいもの飲んでるじゃん、一口頂戴よ」と佐智子が「良ければ飲みます?」と答える前に彼女の手からプロティンシェーカーのボトルを取り上げ、グビッと美味しそうに飲んだ。

『これって…間接キスじゃ…』

真弓が、そう思ったように佐智子もボトルの飲み口をじっと見つめ「ご馳走さん」と返してくれたボトルを、彼が口を付けた同じところに口を付けた。

「あんたら休みをもらっていいよなあ…
こっちは休ませてもらえずヘトヘトだよ」

「ちゃんと食べてるの?
夏はしっかり食べないとダメよ」

「手料理でもてなしてくれる彼女もいないもんでね
いつもコンビニ弁当さ」

「まあ!それはいけないわ!
そうだ!よかったら夕飯をご一緒しません?
私たちが奢ってあげるわよ」

ね、佐智子、いいでしょ?

憧れの彼氏と食事会…
これほど嬉しいことはないと、佐智子は首がちぎれるのではないかと思うほどウンウンと首を立てに振った。

「本当かい?嬉しいなあ!
じゃあ、今夜でもかまわないかい?
俺、焼き肉が食いたいんだよなあ」

それを聞いて佐智子は、スマホで食べ放題ではなく、ちゃんとした焼き肉のお店を検索し始めた。
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