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僕の母さん
第7章 母、真弓の憂鬱
そのうち佐智子は真壁の肩を借りてスースーと寝息を立て始めた。
うっかりしていた。
佐智子はお酒が大好きなくせに意外とお酒に弱くて、すぐに酔いつぶれてしまうのだった。
「どうしましょ?」
真壁は困った顔をしている。
もうこうなったら食事会どころではない。
お開きにしましょうかということになった。
佐智子と割り勘にする予定が狂ってしまい、結局は真弓がすべて支払った。
クレジットカードが使えて助かった。
現金なら足りないところだった。
「あの~…彼女、どうしましょ?」
タクシーで佐智子の家に回ってあげてもいいけど、
かなりの遠回りになってしまう。
「悪いんだけど、ふた手に別れない?」
真弓の提案に誰もが異議を唱えなかった。
そうすることがベストのような気がしたからだ。
「じゃあ、僕が責任をもって佐智子さんをお送りするから壮亮は真弓さんを送ってあげな」
了解しましたと兵隊さんのように敬礼をするものの、
その時点で壮亮の足どりがかなり怪しくなっていた。
佐智子と真壁を乗せたタクシーを見送ったあと、
すぐに次のタクシーが来てくれて二人は乗り込んだ。
「大丈夫れす!ちゃんと送りとろけます!」
かなり酔いが回って呂律もおかしくなってきた。
おまけに真弓に寄りかかって、しばらくするとグーグーとイビキまでかきはじめた。
「ちょっと!しっかりしなさいよ!男の子でしょ!」
真弓が叱りつけると、彼はハッと気がついて「すいません!俺としたことが」と目を覚ましたが、急にウッ!と口を押さえて「すいません、吐きそうです」と真弓にSOSを出した。

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