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新人警察官の拘束体験研修
第4章 第三部 前章 お膳立て 
「じゃあ…2部屋体勢でやらない…?ペース上げないと…まだまだやることあるし…」

せっかちの香織は、先のスケジュールを考え、居ても立っても居られない心境だった。

透明なテープ・フィルムは密封性、保温性が高すぎ、通気性が悪いため、全身に巻いた際、脱水症状になるリスクを回避するため、講師4人が危険と判断し、香織の出番がなくなってしまった。代わりに香織は、快くサポート役に回っていた。それが美帆にとても嬉しかった。だから彼女の薦めに迷わず了承していた。

第三部のロールプレイは、ルーム1(旧医務室)を拘束衣担当の里奈が使用し、ルーム2を縄担当の彩が使用するというフローで参加者を連行していくことになった。

***
彼女は里奈の位置を常に確認しながら、何とか上体を起こし、体を里奈の方に向け、「ンッ…ンンッ…ンッ…」と口ごもり声に強弱をつけ、何かを訴えようとしていた。彼女が里奈に背中を見せ、縛られた手首を見せたことで、里奈は何を訴えられているのか理解できた。

里奈はフッと鼻で笑い、「私にそれを解け…と言っているの…?」と口をきけない彼女に聞いていた。

彼女は里奈をしっかりと見つめ、大きく頷いていた。

里奈は腕を組み、彼女を見下ろしていた。
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