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第1章 発見

透明な一滴が、ゆっくりと達郎の唇に落ちた。
その瞬間、達郎の瞳が陶酔の光に満ちる。
「……サユミ女王様……ありがとうございます……」
さゆりは思わず胸を押さえた。
唾を垂らす――そんな行為は、これまでの人生で考えもしなかった。
けれど、達郎が熱に浮かされたように口を開き、恍惚と飲み干す姿を目の当たりにして、彼女の中で何かが静かに弾けた。
「……私の……唾を……そんなに……」
声が震える。だが達郎は即座に答えた。
「はい。サユミ女王様のすべてを……僕の中に入れたいんです」
その言葉に、さゆりの中の羞恥と快感が入り混じり、背筋に電流が走る。
「……ふふ……本当に、どうしようもない人ですね……」
小さく笑うと、彼女はドレスの裾を少し持ち上げ、長い脚を誇示するように組み替えた。
光沢のある黒いハイヒール。
磨き上げられたつま先が、ゆっくりと達郎の口元へ伸びる。
「……じゃあ、これはどうかしら？」
恥じらいを隠しきれない声色で、彼女は挑発する。
達郎は吸い寄せられるように、女王様のヒールに口を寄せた。
「……サユミ女王様……」
赤い舌が、革の光沢を濡らしていく。
「……っ……！」
さゆりは思わず息を呑む。
自分の足元に跪き、恍惚とヒールを舐める上司――その光景が現実であることに、心が震えた。
「……もっと……私を欲しがって……」
気づけば、さゆりの声は甘美な支配者の響きを帯びていた。
達郎は、女王様のハイヒールを舐めながら、恍惚とした表情で囁く。
「……もう、他の誰でもありません……僕には……サユミ女王様しか……」
その言葉に、さゆりの頬は紅潮し、瞳は艶やかに揺れた。
恥じらいとともに、彼女は確信する。
――私は、この人を支配する力を持っている。