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女子高生の悲劇
第1章 性教育
 ここで何も出来ないのは悔しい。
 だから……。

「先生! 私、いつもの体育がしたいです!」
 とんだ嘘だ。だが、こうでも言わないと、私のむかむかする心が晴れることはないだろう。
 本当は体育だって苦手だし、その教師だって嫌いだ。

 少し歯向かったところで何をされるか分からない。

 教師が私に目を合わせた瞬間、一瞬だけ時間が止まったような気がした。

「つむぎぃ……せっかくだが恵奈は性教育の方がいいと言っているんだ。譲ってやってくれ」
 いやらしい目つきだ。怯える少女が隣に居るためか、余計にいやらしく見える。

 それでも恵奈だけは……絶対に……!!


 恵奈は昔から可愛かった。
 誰よりも可愛く、愛らしく……だからこそ私は、ずっと恵奈が悪い人に襲われるんじゃないかって思っていた。それが今、偶然なのか何かしら、私の目の前で起こっている……。

 その、悪い人が例え先生であっても私は恵奈を守りたい。
 同じクラスの一人だからって言うのもあるけれど、今まで思ってきた感を外したいのが一番の願いだ。

 だから、今日だけは、はっきり言わせてもらう。

「そんな状態で言われたって説得力ないし、そもそも恵奈は、そんなこと一言も口にしていません!!」

 言ってしまった……。
 今まで、みんな、自分の言いたいことを先生に制限されていた、この状態を、私が今、変えた……。

 けど、それでいいのか。
 言葉だけで恵奈が助けられるとは限らないし、こんなこと言ってたら……。

「つむぎぃ……随分と度胸あるようだなあ……」
 案の定、先生を怒らせてしまった。
 よりにもよって私の一番きらいな先生を。

 私、もしかして間違っていた……?

 思ったことを正直に伝えることは、それほどリスクがあることを知っていたのに……。

 無意識に手足が震える。
 怖い、としか言いようがない。

 沈黙の状態だからか空気が重い。


「戻っていい」
「きゃっ!」

 先生は恵奈のお尻を強く押した。
 その刺激から声が出てしまったのだろう。


 その後、ゆっくりと私の方へ近づいていき、やや強引に手を引っ張る先生。
 女子高生一人が、その力に敵うはずもなく、必死な抵抗も体力を削ることにしか過ぎなかった。

 先生の手に引っ張られながら私、どうしようもない不安に顔を俯かせる。

 嫌だなあ…………。
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