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エンドレス・サマー
第1章 エンドレス・サマー
瞼の裏で、無数の光の粒が弾けて夜空いっぱいに広がる幻影が見えた。

「潤兄、花火、見えるよ」

私を貫く潤貴の腰の動きにあわせて体を揺らしながら、うわごとのように囁いた。

「花火なら、もう終わってるよ」

潤貴がくすっと笑って、私の唇を塞いだ。



昨日まではただの親戚だった潤貴と私。

私は千葉の公立高校三年の、大学受験を控えた十八歳。従兄の潤貴は、東京で母親と二人暮らしの大学四年生。

こんな関係になるきっかけとなった出来事は、今から一時間ほど前に起こった。

浜辺では、沖から打ち上がった花火が、闇夜を明るく染めては、光線のかけらを漆黒の水面に撒き散らしながら消えていた。

爆発音が、ワンテンポ遅れて響く。

「このあと亜澄ん家行っていい?今日、できる?」

隣に立つ、一学年下の恋人の蓮司が私の顔を覗き込む。

「ごめん。・・実は親戚が家に来ちゃってて・・」

「え・・・花火の日は家の人いないって前に言ってたじゃん。花火見て、それで解散って・・ありえなくない?」
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