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僕の愛する未亡人
第4章 はじめての嫉妬

運転席で缶の蓋をカチリと音を立てて開けた冴子は、一口飲んでから目を細める。
「ブラックで正解」
短くそう言って、缶を置いた。
ただアイスコーヒーを買っただけなのに、それが妙に親密な確認作業のように思えてしまう。
「ちょっと休憩しよ、眠くなっちゃう」
シートベルトを外している冴子はぐぐっと胸を張らせて、伸びをした。
胸が強調され、理央の胸がどうしても高鳴る。
ベージュのセットアップで、スカートはフレア。彼女には珍しいかもしれない。
とはいえ、首元は相変わらずボタンがすべて締められている。昨日の出来事のせいで、余計に彼女の色気を徹底して隠しているように見える。
いつもつけているフック型で、石の装飾がついたピアスも外されていた。
「飯塚さんって、いつもボタン、全部留めてますよねぇ……」
「くせなのよね。まあ、人に見せられない痕が残ることもあるから」
「ぶ、マジ……」
昨日言っていた彼女の数々の経験からくる習慣だというのか。
心臓が一気に跳ね上がる。誰が、その痕をつけたんだろう。
「なんか、やきもち」
「ええ? よく言う。散々遊んでてそんなこと思ったことないくせに」
「…やくもん。ぎゅーしてもいい?」
自分でも信じられない言葉が口をついて出ていた。冴子の目が、すぐにこちらを射抜く。
それは少し、冷たい目つきだった。
「こういうとき、車って便利……いいよ」
だが、何気なく冴子は言い放つ。理央の喉が詰まる。
理央は冴子の体に覆いかぶさるように、その体を抱きしめた。
しばらくして冴子が車を発進させると、沈黙が苦しくて、理央は冴子と何気なく会話をし出す。
「飯塚さんって、僕が入社したくらいに生産管理部に配属になったんですよね? その前は?」
冴子はきゅっと唇を噛む。冴子にとっては聞かれたくない質問だった。
「実店舗。店長だった」
「えっ、花形からの本社勤務って……栄転ってこと?!」
――彼は何故異動になったのか知らないのだろう。安堵した冴子はふっと微笑んだ。
「実際服売る方が大変だけど、今の方が給料は上がったし、確かに栄転か」
「栄転でしょ~。だから今だって僕の上司なわけじゃん! すごい!」
「ありがとう。そう言ってもらえると助かる」
「……む。もしかして、異動、嫌だったんですか……?」
「ブラックで正解」
短くそう言って、缶を置いた。
ただアイスコーヒーを買っただけなのに、それが妙に親密な確認作業のように思えてしまう。
「ちょっと休憩しよ、眠くなっちゃう」
シートベルトを外している冴子はぐぐっと胸を張らせて、伸びをした。
胸が強調され、理央の胸がどうしても高鳴る。
ベージュのセットアップで、スカートはフレア。彼女には珍しいかもしれない。
とはいえ、首元は相変わらずボタンがすべて締められている。昨日の出来事のせいで、余計に彼女の色気を徹底して隠しているように見える。
いつもつけているフック型で、石の装飾がついたピアスも外されていた。
「飯塚さんって、いつもボタン、全部留めてますよねぇ……」
「くせなのよね。まあ、人に見せられない痕が残ることもあるから」
「ぶ、マジ……」
昨日言っていた彼女の数々の経験からくる習慣だというのか。
心臓が一気に跳ね上がる。誰が、その痕をつけたんだろう。
「なんか、やきもち」
「ええ? よく言う。散々遊んでてそんなこと思ったことないくせに」
「…やくもん。ぎゅーしてもいい?」
自分でも信じられない言葉が口をついて出ていた。冴子の目が、すぐにこちらを射抜く。
それは少し、冷たい目つきだった。
「こういうとき、車って便利……いいよ」
だが、何気なく冴子は言い放つ。理央の喉が詰まる。
理央は冴子の体に覆いかぶさるように、その体を抱きしめた。
しばらくして冴子が車を発進させると、沈黙が苦しくて、理央は冴子と何気なく会話をし出す。
「飯塚さんって、僕が入社したくらいに生産管理部に配属になったんですよね? その前は?」
冴子はきゅっと唇を噛む。冴子にとっては聞かれたくない質問だった。
「実店舗。店長だった」
「えっ、花形からの本社勤務って……栄転ってこと?!」
――彼は何故異動になったのか知らないのだろう。安堵した冴子はふっと微笑んだ。
「実際服売る方が大変だけど、今の方が給料は上がったし、確かに栄転か」
「栄転でしょ~。だから今だって僕の上司なわけじゃん! すごい!」
「ありがとう。そう言ってもらえると助かる」
「……む。もしかして、異動、嫌だったんですか……?」

