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魅惑~甘く溺れる心と身体。
第12章 いざ、情報収集のためにっ!

「おかしいと思ってたんだよね、俺が澪ちゃんを誘った時の森野の反応が過剰だったから」

 須藤さんは何度も頷きながら、静かに続けた。

「澪ちゃんが知ってのとおり、七瀬もね、社内ではすっげぇ人気なのよ?」
 ――そうだよね。
 男性はみんな、そういう家庭的な女性が好きだし、結婚するならそんな女性が良いって思うよね。

 あたしは目を閉じて、唇を噛みしめる。
 あまりの苦しさに、両手はTシャツの裾をぎゅっと握り締めた。

 ただでさえ親戚同士。
 あたしたちは叔父と姪の関係性。
 その恋は間違っている。
 諦めろ。
 須藤さんは暗にそう伝えたいのだろう。

 だけど、そんな簡単に諦められない。
 ずっと好きだった。
 今も好き。
 きっとこれからもずっとずっと、唯斗さんしか好きになれない。
 そんな確信みたいなものがあたしの中にははっきりある。

 そんなあたしの気持ちが間違っていると諭すように、須藤さんは続ける。

「森野と付き合っている当初、彼氏がいるっていう噂も社内ではあったんだけど、それでも言い寄る奴はたくさんいたんだ」

「――あたしが、唯斗さんのUSBを持って会社にお伺いした時も、男の人に絡まれているのを見ました」
「そうそう!」

 だけどさ――。
 須藤さんはそう口にした。

「森野は七瀬と付き合っていた時、男に絡まれていても間に入ったことはなかったんだ」


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