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魅惑~甘く溺れる心と身体。
第13章 危険な罠、ふたつの欲望の前にただ狂い咲く……。

 でも、どっちの涙だろう?

 感じたくない。
 あたしに触れて良いのは唯斗さんだけ。
 それなのに、感じてしまう身体。

 あたし、どうしてこんなふうなんだろう……。
 たしか、男の人2人組に強姦されそうになった時も、感じて喘いでしまったのを覚えている。

 こんなのイヤ。
 イヤなのにっ!

「ゆいとさんっ!」
 助けて!!
 叫んだ瞬間だった。


「澪ちゃん!」
 突然勢いよく開いたドアと一緒にあたしの名前を呼ぶ声が聞こえた。
 だけど涙で滲んで唯斗さんがどんな表情をしているのか判らない。

「遅いよ、森野。やっと来た。危うく澪ちゃんを食べちゃうところだったじゃん?」
「須藤、お前!」

 低い声で話す唯斗さんは、強姦されそうになった時と同じ声音だった。
 だけど、ひとつあの時と違うのは――。

「おっと、俺の仕業だけじゃないよ? 澪ちゃんもここに来るのに同意したんだ。ね、澪ちゃん。俺ら、共犯者なんだよねっ!」

 あたしが須藤さんと合意の元、ここに来たっていうこと。

「澪ちゃん、それはどういうこと?」
「……っつ」
 須藤さんは本当のことを打ち明けた。
 唯斗さんの質問が、まるであたしを責めているように聞こえる。

「森野が澪ちゃんのことでどれだけ早く駆けつけるか、賭けをしたんだ。いけない娘だよね、そうやって火遊びをしたがるの」

 何を言っているの?
 違う。
 須藤さんは間違ってる。


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