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魅惑~甘く溺れる身体と心。
第3章 誘惑しますっ!

「……お前ら……よくも」
だけど唯斗さんの声はいつもよりずっと低い。
あたしが玩具にされたのを怒ってくれているみたい。
それが怖いと思う反面、嬉しいと思う自分もいる。
あたしは起き上がると、慌てて乱れた衣服を整えた。
自分の身体に腕を回し、ぎゅっと抱きしめると、震えているのに気がついた。
やっぱり、怖かったんだ。
自分でも気づかないくらい、怯えているんだ。
「なんだよお前!」
「いいとこ邪魔すんな!」
「このガキどもが……」
唯斗さんひとりに相手は2人。
どうやっても有利なのは向こう。
「やだ、唯斗さん!」
あたしは小さな悲鳴を上げたものの、それだけだった。
それというのも、唯斗さん。
ものすごく強かったんだ。
相手が拳を突き出してくるのをすんなり避けたかと思えばその拳を掴み、勢いに任せて前に誘い込む。そうしたら相手はそのまま地面に突っ込むだけだ。
「この野郎!」
残りのひとりは下から足蹴りを仕掛けてきたけれど、両手で阻止すると、回り込んで背中に肘を当てる。
ふたりはあっという間に地面に倒れ込んでしまう。
「ぶっ潰してやる」
唯斗さんが拳を振り上げて2人をたたみ掛けようとしていた。
それはすごい剣幕だったから、本当に2人を大変なことにさせてしまう気がして、だからあたしは広い背中にしがみついた。
「唯斗さん!!」
2人は悲鳴を上げて逃げ出す。
「待て!」

