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魅惑~甘く溺れる心と身体。
第18章 ずっと好き~せめて想うだけでも許してください。

 唯斗さんの口が開くのと同時。
 あたしはさようならを告げる。


「今日、家に帰ります……」

「澪ちゃん?」

 抱かれて嬉しかった。
 両想いだと勘違いしちゃって恥ずかしい。
 だけど、初めてが唯斗さんで良かったと、心の底からそう思う。

「もし、お腹に赤ちゃんができてしまったなら、あたし生みたいです。でも、唯斗さんには迷惑かけないから。お父さんもいるし――だから大丈夫」
 こんなのおかしいと思う。
 本当なら、下ろすべきだとも判っている。

 だけど、あたしは唯斗さんとの行為をなかったことにしたくない。
 あたしを親に選んできてくれた子供を大切に育てたい。

 そう、思うんだ……。

 だからもういい。
 もう十分だ。

 あたしのことは放っておいて。

 唯斗さんから見れば、まだまだ子供だろうけど、何も知らない子供じゃない。

 大好きな人には大好きな女性と一緒に笑い合ってくれればそれでいい。

 幸せになってくれさえいれば、それでいい。

 唯斗さんにとって、大切な人はあたしじゃなかった。
 ただそれだけ――。


「大丈夫だよ、叔父さん」


 ――叔父さん。


 自分が言った言葉が自らの胸に突き刺さる。

 そう、あたしは所詮、唯斗さんにとってはただの姪っ子。

 一緒にはなれない存在だから――。
 これが本来あるべき姿なんだ。

 悲しくて唯斗さんの顔、見られない。
 あたしは唇を引き結んで、唯斗さんの返事を待つ。


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