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魅惑~甘く溺れる心と身体。
第17章 ただ腕の中で漂う。

 ガララ……。
 バスルームのドアが鈍い音を立てて開いた。

 あたしが身に着けていた唯斗さんの上着も、夏用のニットも取り除かれる。
 あたしを包む何もかもが消えた直後、あたたかな湯気が広がったバスルームの中。
 しっかりお湯が張られたバスタブに、沈められたんだ。


「っひ!」
 突然のことだったから何をされるのか判らなくて、怖くて唯斗さんにしがみつく。
 記憶が蘇ったのは、おじさんの罵声と酷く扱われた行為。
 無理矢理口の中に突っ込まれたおじさんのペニスと、顔に当たる陰毛。
 行為の最中の、その感触が未だに残っている。
 両親にさえもされたことのないのに、散々お尻を叩かれ、排便する所も全部見られた。

 アナルに残っていた便と一緒に流れ出たあたしの液を絡め取り、口の中に無理矢理突っ込まれて舐めさせられもした……。

 そして――……。


『汚い娘だ! それだからお前は実の母親に捨てられ、振られたんだ。最後は父親にも捨てられるぞ!!』


 おじさんが指差し嘲笑う。


 そう、あたしは汚い。
 自分勝手なワガママ娘。
 相手には清潔さを求めるクセに、自分は穢れている。
 それなのに、つい願ってしまう――。

 捨てないで。

 独りは怖い。

 悲しい……と――。


 なんて独りよがり。

 なんて身勝手。

 それでもあたしから逃げていくその腕を掴めば――。


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