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魅惑~甘く溺れる心と身体。
第18章 ずっと好き~せめて想うだけでも許してください。

 ……もう、それだけでいい。
 これ以上のワガママは言っちゃいけない。

 だけどもう少し……このまま――。

 泣かせてください……。
 あたしはしばらくの間、唯斗さんの腕の中で、声を出さずに静かに涙した……。


 しばらくの間、たっぷり泣いた後。
 唯斗さんが起きる前にベッドから抜け出した。

 洗面所に立って自分の顔を見つめる。
 泣き腫らした瞼に充血している目。
 髪はボサボサ。
 顔色もいいとは思えないほど悲壮感が漂っている。
 今日はいつも以上にひどい顔だった。

 だけど――。

 さあ、
 ウジウジしていてもはじまらない。
 唯斗さんはもう手に入らないんだから!

 パシャパシャと冷たい水で顔を洗って目を覚まさせる。

 胸が痛い。
 だけど、誰かに頼ってばかりなんてもう止めよう。

 ぴしゃん!
 両頬を平手で叩いて渇を入れる。


 あれから色々考えた結果、
 今日、唯斗さんの家を出ることにした。
 そして家に戻って、お父さんに独り暮らしをしたいことを伝えるんだ。
 アルバイトもたくさん入れて――。

 もちろん、大学は休まずにしっかり受けるつもり。

 もう20歳なんだし、いつまでも子供のままじゃない。
 甘えていちゃダメなんだ。
 ひとりでも生きていかなきゃ。
 これ以上、誰かの迷惑になったまま生きていたくない。

 タオルを取って顔を拭く。
 洗面所を出ると、ぱったり唯斗さんと出会してしまった。


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