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魅惑~甘く溺れる心と身体。
第7章 それって嫉妬? 清楚系美人の恋敵登場。あたし負けないっ!

 初めに声をかけてきた女の人は乾いた感じの声をしている。
 手を腰に当てて立っている姿からもやっぱり気の強そうな感じがびしばし伝わってくる。

「どなたに?」
「森野 唯斗さんです」
 訊ねられ、答えるあたし。

 ……なんだろう。
 詰め寄られる感じがしてすっごく居心地が悪い。

「森野くん? だったらあの子が渡しておいてくれるわ。ね、姫実花(きみか)」
「――えっ」
 受付カウンター席にいたもう一人の女の人に向かって声を上げた。
 目の前にいる女の人とは対照的な清楚系の女性。
 肌は透明できめ細やか。唇には桃色のリップがとても似合っている。メイクはナチュラル系。睫毛も長くて、華奢な身体。胸は……まあ、あたしの方があるかな。


 ――なんて。
 でも姫実花と呼ばれたの女の人は物腰は柔らかそうで、とても優しそう。
 すごく綺麗な女性(ひと)だった。

「大切な物みたいなので、あたしがきちんと渡したいです」
 尚も食らいつくあたしに、少し機嫌を損ねたみたい。
 女の人の声がほんの少し尖った。
「貴女、まだ大学生くらいでしょう? 少なくとも、わたしたちの方が確実に森野くんに渡せるわ」
 子供に大切な用事は扱えない。
 暗にそう言っている。
 ツンと澄ました女の人は顎を突き出した。
 こ、怖いです。
 でもあたしだって唯斗さんに会いたいんだもん。
 負けたくない。


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