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魅惑~甘く溺れる心と身体。
第7章 それって嫉妬? 清楚系美人の恋敵登場。あたし負けないっ!

 あたしは口を尖らせて、去っていく女の人の背中を睨めっこしていると、唯斗さんはあたしの心情を察してくれているのか、ぽんぽんと頭を撫でてくれた。

 ……ああ、子供扱いされてる気がする。
 唯斗さん、それもそれで心外です。

 複雑な気持ちのままでいるあたしに、一際明るい声がした。
「やっぱ、君が澪ちゃんなんだ、かっわいい!!」
 目鼻立ちのはっきりした茶髪の人があたしを見るなり褒めてくれる。
 この軽い口調はきっと……。

「俺俺、さっき電話でちょこっと話した――」
「須藤さんですか? こんにちは」
 自分を指差し間髪入れずに話す男の人に、あたしはぺこっと頭を下げるあたし。

「そう! 俺、須藤 翔(すどう かける)っていうの。よろしくね」
「あ、森野 澪です。こちらこそよろしくお願いします」
 挨拶を交わすあたしに対して、須藤さんは、「やっば、想像していた以上に激可愛! 背、低いのがまた可愛い!! プロポーションいいね。ファッション雑誌のモデルさんみたいだね!」
 須藤さんがずいっと目の前にやって来た。

「足細いね、ミニも似合うね!」
 スカート、ちょっと場違いだったかもしれないと今さらながらに後悔した。
 あたしはほんの少しスカートの裾をきゅっと引っ張った。
 そうしたのは、唯斗さんのお家に向かう時に襲われたのを思い出したからだ。

 屈んで顔を覗き込まれた。
 距離が近いです。
 気のせいかもしれないけれど、須藤さんに胸の谷間も見られている気がする……。
 オフショル着るの止めれば良かった……。
 唯斗さんにだけ見られれば良かったのに、直前までメイク頑張ってしまっていたから着替えられなかった自分が今となっては悔やまれる。
 なんて思っていると――。

 あたしの手はすぐさま唯斗さんに引っ張られた。
 そうかと思えば、あたしは唯斗さんの後ろに回される。
 えっと、唯斗さん。
 何か怒っていらっしゃる?
 恐る恐る顔を上げれば、唯斗さんと視線が重なった。
 目が合うとにっこり微笑んでくれたから、怒ってはいないみたい。
 少しほっとした。


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