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魅惑~甘く溺れる心と身体。
第7章 それって嫉妬? 清楚系美人の恋敵登場。あたし負けないっ!

「仲良かったのにお前らなんで別れたんだ?」
 片桐さんが訊ねた。

 ズキンッ!
 あたしの胸が言葉のナイフに刺されてしまう。

 仲が良かった……?
 きっともう終わった関係だよね、きっと。

「今はそんなのどうでもいいだろう?」
 唯斗さんは面倒臭そうに口を開いた。
 話したくないほど傷ついているのか、それとも本当に終わったことだから今さらなのか。
 今の唯斗さんの言動じゃ、何も探れない。

「そうそう! どうでもいい! ねぇねぇ澪ちゃん、お酒は飲める?」
 須藤さんはあたしにナンパをしかけてくる。
 だけど正直今は何の言葉も頭に入ってこない。
 頭の中にあるのは、唯斗さんとあの綺麗な女の人が付き合っていたという事実だけだ。

「あの、えっと……」
「今度の休み、一緒に美味しいバー行かない? いいとこ知ってるんだよね」
「行かせるわけないだろう? どうせ送り狼になるつもりだろうが」
「バレてやがる」
「下心見え見えだ!」
「澪ちゃん、もう20歳なんだしそんな過保護にならなくたっていいじゃん。物わかりが悪い叔父さんはウザがられるよ?」
「煩い」


「…………」
 唯斗さんと須藤さんが言い合いをはじめる中、二人の会話がまったく入ってこなくなったあたしは受付カウンターに立つ姫実花という女の人を見ていた。

 その場はなんとか資料を渡すことができた。
 だけど知りたくもなかった事実を知ったあたしは上の空。
 気がつけば唯斗さんの家に着いていて、どうやって帰ったのかも思い出せないくらい動揺していたんだ。



 《それって嫉妬? 清楚系美人の恋敵登場。あたし負けないっ! ・完》
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