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魅惑~甘く溺れる心と身体。
第9章 なつめと大根。
もっとちゃんとしていたら、別の男の人の所に行かないで、お父さんとあたしの傍に居てくれたんじゃないかって――。
お父さんにしても同じ。
あたしの元から去っていかないように、成績も常に上位をキープしたし、学校は休まずに登校して、部活も頑張った。
もちろん、お料理や家事だって、なんだってこなしてきた。
それは唯斗さんにも言えることで――。
お料理も家事も完璧にこなして、あたしの身体さえ気に入ってもらえれば、ずっと傍に置いてくれるんじゃないかって、そう思っていたんだ。
「いいんだよ、もう十分頑張ってる。兄さんはあんなポーカーフェイスだけど、ああ見えて実はすごく気にかけているんだよ。夏休みの間、俺が澪ちゃんを預かるって話をした時、兄さんは澪ちゃんが頑張りすぎないか、とても心配していたんだ」
お父さん……。
実はあたしが思っている以上にずっとずっと深いところで想ってくれているのかもしれない。
そう思うと、あたしの胸があたたかくなる。
「あたし、捨てられない? できない子でも許してくれるかな?」
「こんなに健気に頑張っている澪ちゃんを捨てる奴の方が気がしれない」
唯斗さん。
唯斗さんもあたしを捨てない……?
「唯斗さん……唯斗さん……」
「大丈夫、周りなんて気にしなくてもいいよ」
腕が伸びてきて、そっとあたしを包み込んでくれる。

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