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100番目の女
第5章 キスとキズ
前を行く影が、私に踏まれるのを嫌がるように次の角で曲がって消えた。
私はそのまま真っ直ぐ、真っ直ぐ歩く。

そうして自宅前まで来て顔を上げると、カズヒトが女の子と一緒に家に入るのが見えた―――――…



夕飯はオムライスだった。
私の大好物だ。

「好きな人に"好き"って言った?」

「え?」

母が静かにスプーンを置く。

「ちゃんと告白してフラれたの?想いを伝えないまま諦めたら後悔するわよ」

「お母さん…どうして」

「ん〜母親のカン?」

「…お皿、帰ってから洗う」

「え、今?もう暗いから明日にしたら?」

「隣だから大丈夫!」

私はサンダルをつっかけて
走った。



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