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イケナイアソビ。
第8章 恋して! ウェアウルフ

 自分が出来ることの方が少ないが、それでも何かしらの役に立つかもしれない。
 許されることなら、このまま丞の側にいて懐抱をしてやりたいと、宝は思った。


「今は気絶しているけれど、さっきも言ったように、満月の今夜は魔力が一気に高まる時なの。丞は自我を手放し、暴れるかもしれない。側にいれば、どんな危険な状況にもなり得るわ」

 宝の気持ちを見抜いた阿佐見は、決意を口にする前にそれ以上の覚悟が必要だと忠告する。
 あの夢のように、もしかしたら自分は殺されてしまうかもしれない。


 ーーそれでも。
 それでもいい。丞が苦しいのならそれを取り除いてやりたい。

 そもそも、自分の所為で丞は今このような状態になっているのだ。だったら最期まできちんと看病する権利が宝にはある。

「へいき、です」

 宝は涙で濡れた頬を拭うと、阿佐見に告げた。

「……そう」


「ならこいつを屋敷まで運んでやろう。いつまでもここにいたら血の匂いで熊までやって来かねないからな」

 斎はにやりと笑い、言ってのけた。


 そこで思い出したのは、田牧のことだ。彼は自分が狼に襲われている自分を助けんがために銃で撃った。

 しかも自分は田牧を殴り、気絶させている。仮に今、丞の屋敷に戻ったとして、気絶している田牧と鉢合わせにならないだろうか。


「あの、田牧さんは……」

「ああ、彼のことなら気にしなくて良いわ。わたしが彼の家まで運んでおいてあげるから。夢でも見たってことにして話をはぐらかすわ。だから宝ちゃんも今夜のことはお願いね?」

 どうやら阿佐見は事の一部始終を見ていたらしい。ふふっと笑い、田牧のことをあっさり引き受けた。

 ウェアウルフだと他言しても誰も信じてくれないだろう。もちろん、宝は誰にも言うつもりはない。

 自分が好きな人の弱点を他人に売っても自分に得なんて無い。

 だから宝は迷うことなく頷いて見せた。


「丞のやつ。これで貸しふたつだな」
「さあて、次は何を買ってもらおうかしらねぇ」

 阿佐見は指折り何かを考えている。

 宝はふうっとため息をつき自分を落ち着かせると、阿佐見たちと共に湖から離れた。


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