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銀狼
第7章 還るべき地
しかしそれにしても
「……!? 」
セレナの亡骸が見あたらない…。
血溜まりの惨状に目を凝らすも、ここに在るのは皆男の亡骸だった。
“ そんな筈は…… ”
混乱するアルフォード侯。
辺りを見渡すと、森の木々の隙間にひとつの古びた小屋が目に入った。
「まさか…!! 」
彼は小屋へと向かう。
不安と期待の入り交じった思いで、恐る恐る壊れたドアを開け──
…だが、中には誰もいなかった。
家具が散乱した木の床には、土足で踏み荒らされた跡がある。
中央の柱には、括り付けられたロープ。
「──…」
その先は鋭利な刃物で切られていた。
それはこの小屋に捕らえられていた " 誰か " が、逃げ出した跡とも考えられないだろうか。