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銀狼
第7章 還るべき地
“ セレナが、生きている…! ”
何処にもそんな確証はない。
だが彼はそう信じたかった。
複雑な表情でアルフォード侯が小屋を出ると、入り口の周りでは部下達が指示を待っていた。
「──私はここにいつまでも留まる訳にいかない。セレナのことは…」
「お嬢様の捜索は、我ら二番隊にお任せ下さい」
「…っ…悪いな君達…」
彼には街の統治者としての職務が待っている。
ただの父親でいることは彼に許されていなかった。
「…くれぐれも気を付けたまえ。単独行動はしないように」
アルフォード侯は再び馬に跨がり手綱を取ると、荒廃した道を引き返した。
───…