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銀狼
第7章 還るべき地
“ 何これっ?どうして? ”
大胆に破られたドレス。
剥き出しの左腕。
そこにはドレスの切れ端が、包帯の代わりとして巻かれていた。
「…っ…これ、もしかして」
その箇所にはそう言えば切り傷があったのだと、この時やっとセレナは思い出した。
ラインハルトの森を逃げ回る途中、刺のある蔓で負った怪我──今は、ドレスの切れ端で隠れている。
そしてその内側には、見覚えのある果皮が湿布のようにして貼り付けてあった。
“ …これ、食用じゃなかったのね。苦いはずよ… ”
それは昨日セレナが口にした、酸味と苦味が恐ろしい例の果物の皮だ。
顔がひきつるような酸っぱさだった。
だが本来の使い方をこうして知ると、あの味にも納得できる。