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銀狼
第7章 還るべき地

いったい誰が傷の手当てをしてくれたのか。
「……っ」
そんなの、この男しかいない…。
何を考えているのかわからない、この男しか。
「…あなたは…何者なの?」
穴があくかと言うほどに狼の顔を見つめたセレナは、そのうち諦めて息を吐きつつ腕を下ろした。
もう一度、彼の背中に頬をつける。
何が目的なの
何故わたしを食べないの
結局なにひとつとして、あなたは答えていないじゃない…。
「獣の愛って、何なのよ……」
両手の掌を背に添わす。
毛の流れに沿って手を滑らせば、彼の身体が時折ピクリと反応した。

