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銀狼
第7章 還るべき地
絶壁の窪みを経由しながら上へ上へと跳び移っていく。
「…危ないッ!! …きゃっ…」
「掴まっていろ」
「……ッ…もし落ちたら…!! 」
「…落ちれば死ぬだけだ」
気が飛んでしまいそうなほどの高さに、セレナは身体を小さく縮こまらせて、大人しく彼の胸にしがみついているしかなかった。
──下は絶対に見てはならない。
飛び上がるたびに肌を叩く強い風を感じながら、彼女は固く目を閉じた。
───
そして漸く…銀狼の動きが止まった時。
「…目を開けろセレナ」
「……?」
耳元で静かに囁かれ
セレナは恐る恐る瞼を上げる──。