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銀狼
第8章 雨(アマ)の鎮魂歌
銀狼は彼女の顔を覗きこみ、ほてった頬に手の甲を添える。
「まだ熱いか…」
「…っ…もう、ハァ、…無理よ…!! 」
厭気を抜くためと言われてもこれ以上あの荒療治を続けられては精神がもたない。
怯えるセレナは咄嗟に脚を閉じた。
「──…そうであろうな」
「?」
だが意外なことに銀狼は頷いた。
セレナがそう答えるのは重々承知と言いたげな口調で、彼は頬から手を離す。
長い睫毛で隠された瞳を俯かせ──
そしてセレナの手元に転がされた果実の皮を手に取った。
「それさっきの実の…」
「そう、セリュスの果皮だ」
首を傾げたセレナの前で、臼桃色の皮から残った実の部分を剥ぎ取っていった。