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銀狼
第8章 雨(アマ)の鎮魂歌
「…ハァ…ハァ…どうする、の?」
「セリュスの果皮は解毒の作用をもつ」
「えっ…」
「残った厭気はこれで解毒できる」
「──…!」
解毒──?
ああ、だから森の鳥達はこの実を食べても平気だったのか、と
セレナの疑問が解けたところで…
” それなら、そもそも “
納得できない事が増えてしまった。
銀狼がセレナに皮を差し出したが、彼女はすぐに受け取ろうとしない。
「…どうした。この程度の渋味も我慢できないのか、人間は」
「そうじゃなくてっ…! …ハァ、そんな便利な方法があるならどうして先に教えてくれなかったの…?」
「……」
「…あ、あんな方法…使わなくてもよかったじゃない…!! 」
「…あんな方法?」
「だからッ…// さっきの……っ」
言葉に詰まるセレナ。
彼女の口に、銀狼は果皮を押し込んだ。
「……むッぐ」
「…黙って食べろ、セレナ」
そして渋い皮の味に顔をしかめたセレナに、小馬鹿にした様子で口の端を上げた。