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銀狼
第8章 雨(アマ)の鎮魂歌
───
─ザッ
その後…森を抜け出た二人の前に円形状の断崖絶壁が現れたのは、ちょうど夜の涼しさが顔を覗かせた頃合いだった。
見下ろした其処では、数多の狼達が各々の寝床から抜け出してうごめいていた。
「──?」
「様子が、変ね…?」
その事はセレナにも直感的にわかった。
焦げ茶、灰、白、黒…
色を問わない様々な狼が歩き回り、一様に何かを探しているようであった。
時おり小さく鳴いている…。
セレナの位置からは豆粒のような大きさの彼等だが、そんな狼達から張られた弦のような緊迫感が伝わるのも確かだ。