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銀狼
第8章 雨(アマ)の鎮魂歌

「何かあったのかしら」

「此処からでは知りえん…」

いったい何が起こっているのか…降りなければわからない。


「…目を閉じろ」

「えっ…」

「それから、歯を食い縛れ」


彼の身体がフワリと傾く。


「──舌を噛み切らぬようにな」

「わか…っ…!! 」


その声を合図に、セレナは彼の首に腕を回した。




.....



ローは彼女を庇いマントで包むと


崖の凹凸を経由しながら…


「…ッ──…!! 」


最後に、祭壇の頂上へ降り立った。





「……ハァ……ハァ」


恐る恐る目を開けたセレナは唇を震わせながら息を吐く。

ローは彼女を抱えたまま祭壇を降り、下段にたどり着いた彼の周囲に狼が集まりだした。


グルルッ、グル・・・・


「……」

「何?何か言っているの?」


ローは狼達の唸り声を聞き取る為に黙った。

やはりセレナには信じ難いが、彼は獣の考えを読み取り、意思の疎通ができるのだ。



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