この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
銀狼
第8章 雨(アマ)の鎮魂歌
「何かあったのかしら」
「此処からでは知りえん…」
いったい何が起こっているのか…降りなければわからない。
「…目を閉じろ」
「えっ…」
「それから、歯を食い縛れ」
彼の身体がフワリと傾く。
「──舌を噛み切らぬようにな」
「わか…っ…!! 」
その声を合図に、セレナは彼の首に腕を回した。
.....
ローは彼女を庇いマントで包むと
崖の凹凸を経由しながら…
「…ッ──…!! 」
最後に、祭壇の頂上へ降り立った。
「……ハァ……ハァ」
恐る恐る目を開けたセレナは唇を震わせながら息を吐く。
ローは彼女を抱えたまま祭壇を降り、下段にたどり着いた彼の周囲に狼が集まりだした。
グルルッ、グル・・・・
「……」
「何?何か言っているの?」
ローは狼達の唸り声を聞き取る為に黙った。
やはりセレナには信じ難いが、彼は獣の考えを読み取り、意思の疎通ができるのだ。