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銀狼
第8章 雨(アマ)の鎮魂歌
──子供がいなくなった
彼等はそう言っている。
「……」
ローは眉を潜めた。
「子供って…っ…狼の?」
ローの言葉を受けて問いかけたセレナを、彼は腕から下ろして立たせる。
無対流の空気の重さ──。
彼の横顔は喜怒哀楽を殺していた。
やはり軽々しく口を挟める雰囲気ではない。
「母親が寝ている隙に巣から抜け出したか…」
「…それで…皆で、探しているの…?」
「我等は子供を群れ全体で育てる。狩りに向かう親と、巣に残る親とに分かれてな…。居なくなれば群れで捜すのも当然の───…っ」
「──?」
ここで唐突に、彼の言葉が途切れた。