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銀狼
第8章 雨(アマ)の鎮魂歌


上を向かされたセレナの視線が彼と合わさる。


「──…私にはまだ、その泣くという行為が理解できない」


眉を潜めたローの目には、どこか哀愁を含んだ戸惑いが滲んでいた。

これまで生きてきて彼には涙を流した経験が無く、そんな彼にとってセレナの涙の真意を測るのは難しい事であったのだ。



しかし、彼女はすぐさま言葉を返した。



「……、あなたも、もうすぐ泣ける」


「──…」


「だってあなたの心は……ずっと悲鳴をあげているもの……!涙が流れていないだけで…っ」




ずっとずっと…泣いている。


底の知れないグレーの瞳はいつだって…冷たい悲しみに染まっていた。


どうして気がつかなかったの


彼の嘆きに、絶望に、そして怒りに…。







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