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銀狼
第10章 討伐
「更に先日、奇妙な男が街に現れたと──」
その男は真っ黒な長毛のマントに身を包み
森に生息する珍しい薬草を商人達に差し出して、女物のドレスと食料を代わりに受け取って行ったという。
「その男は……それは見事な……銀髪の持ち主だったと、街で噂になっています」
「銀髪…──」
“ 馬鹿な…あれはただのおとぎ話 ”
「……」
だが確かに
消えたセレナ、不審な男。
動物離れしたこの、銀色の獣毛。
あの伝説の「銀狼」がいるのならば、同じく伝説の…彼等の聖地もまた存在する筈。
「…この銀毛が見付かったのは森のどの辺りだ」
アルフォード侯の声が冷静な上官の物へと戻り、部下の青年は静かに答える。