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銀狼
第10章 討伐


胸の風穴に、あまりに切ない…すきま風。


「いきなり解放なんて…理由を知りたいわ…!! 」

「不服なのか」

「──あなたのせいでしょう!? 」


セレナは腕にいっぱいの力をこめて、ローの胸を叩いた。

ローはそれを止めない。

微動だにせず…睫毛だけを伏せる。

そんな彼を何度も何度も叩き続けて、セレナは喉の奥で呻いた。


「…ハァっ…ハァっ、…あなたのせいよ」

「……」

「こんなわたしが帰れるわけ…──!! 」



彼女はもう…人でない男と繋がった身だ。


純潔も疾うに失い──


そして



「…う…ッ─、……ロー…」


「やつれた餌に興味はない」


「どうしてっ…なの?…何が、理由で…」


「……セレナ」


突き放すようなローの言葉に、出会ってすぐの彼女なら納得したのだろう。

だが今の彼女は…その場しのぎの安易な嘘など受け付けない。

騙される事すらできなくなった彼女へ、ローは同情をこめた溜め息をついた。



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