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銀狼
第10章 討伐
「──…」
ローは消えゆく彼女を見送る。
洞窟の中の、しんと静かで湿った空気が幽かに衣を揺らす。
セレナの姿が見えなくなると、彼は背を向け反対側へと足を進めた。
──…ザッ
土を踏みしめ岩場へと向かい
祭壇までたどり着くと石段を登り、向きを変えて段上に腰を下ろす。
そう、それはちょうど…
初めてセレナに出会ったあの夜。
狼の陵辱を受け横たわる彼女を、無慈悲に見下ろしていた時と同じ様に──。
時は来た。
もはや退く術( スベ)は無い。
「──…目を覚ませお前達」
銀狼の放った低い声が、地を這い草木を震わせる。