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銀狼
第10章 討伐

朝から行っているにも関わらず、何の成果も無いまま数時間が経とうとしている。

もう日もとっくに折り返した。


「このままでは巣を見つけることが出来ません。…長官、どうでしょう、此処一帯に火をつけて邪魔な木を焼き払っては」

「……、それは…好ましくないな」


アルフォード侯はそれを許可しない。

だが何か策を打たなければろくに捜索もできないばかりか、この見通しでは…もしもの時に狼達に立ち向かえないだろう。

彼は眉を曇らせた。







......




「───お父様!!」



「……っ…!? 」




その時、耳を疑うことになった。


それはここ数日の間に幾度となく求め続けてきた声。


部下と話していたアルフォード侯は咄嗟に声の方へ顔を向けた。



「──セレナ!」



樹木の影から姿を現し此方へ駆け寄る女性は、まぎれもなく愛する娘。

馬から飛び降りてよろけた彼が立ち上がるのと、セレナが父親の胸に飛び込むのとはほぼ同時であった。


「お父様…」

「…本当に…っ…良かった…!! 」


何度も諦めかけた娘の生存。

嬉しさが半分、信じられない思いが半分といったところであろうか。

彼は無事に戻ってきたセレナをこれでもかというほどに強く抱き締めていた。



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