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銀狼
第10章 討伐
ローの存在が人間にばれている。それでこれほど大がかりな捜索が…!!
──なら、彼等の隠れ家のことは?
聖地の場所までばれているの?
「…その銀狼が何処にいるのか…、お父様は、わかっているの?」
脈打つ心臓は掻きむしられているようで、掌の汗をはっきり感じるほどセレナは切迫していた。
「お前の行方を追っている段階で、私達は銀狼に通ずる手掛かりを見つけた。恐らく…この周辺にいる。今日中には必ず見つけ出して討伐するつもりだ」
「……っ」
「噂に聞くには恐ろしい魔力を持った冷酷な怪物だ。こちらとて無傷ではすまないが……だが、皆その覚悟はできている」
「───駄目よそんなの! 彼はそんな怪物じゃないわ!彼は……─ッッ、………!! 」
気付いた時には叫んでいた。
「──…!」
取り戻せない瞬刻が、異様な静寂にゆっくりと滲んでいく。
いけないと思い口をつぐんだセレナだが既に遅い。
目の前の父親、そして周りの部下達が彼女の言葉を聞き逃さなかった。
....
「──…今、" 彼 " と言ったか?セレナ」
「……っ…何でもない…」
「はっきり言いなさい!! お前は銀狼について何か知っているのか!? 」
アルフォード侯は、顔を背けたセレナの両肩をつかんで揺すりながら問いただす。聞き流せないことを彼女が言ったのだ。
「……!! 」
セレナは目をそらしたまま歯をギリリと喰い縛る。