この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
銀狼
第10章 討伐
「やはりお前は、銀狼に囚われていたのだね」
「…ち、違うの」
「嘘はやめなさいセレナ」
侯爵はセレナの頭に手を置く。
そしてじわじわと赤くなっていく彼女の目を覗き込んだ。
「なら銀狼の居場所も知っているだろう。我々に教えてくれ」
「……嫌です」
「何故だい?」
不可解な娘の返事を受けてなお、彼は柔らかく尋ねた。
「…心配しなくていい。知っている事を何でもいいから話してくれ」
「…殺さないで」
「…ッ…自分が何を言っているのかわかっているのか?」
「彼を殺してはいけないわ…っ」
「……セレナ」
侯爵は溜め息をついた。
いつになく強情なセレナを不審に思う。
まるで今の彼女は幼い頃に戻ってしまったようだ…。