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銀狼
第3章 銀狼
そのどちらであっても、一度 死の森に踏み込んだ自分は生きて出ることができないのだろう。
「……」
怪我をした左腕の痛みが、今さらになってズキズキと追い詰めてくる。
セレナは静かに目を閉じた。
暗闇の中で心細さは増すが、そうせずにはいられなかった──。
......
《 此処は聖なる地。……約束の地 》
耳をすませば、幽かに鳥の声。
《 其の土が…──。其の 者は…── 》
葉がさざめき擦り合う音。森のうねり。
《 其の時こそが…── 》
そして…
肌に当たる、風の感触…。