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銀狼
第11章 儚き運命
「…あっ!セレナ様──ッ!! 」
「……っ…ハァ」
心配した茶髪の青年が掴んだ手を振りほどき
セレナは彼の腰にさげられた短剣に手を伸ばした。
…それは一瞬の出来事。
「……!! 」
奪い取った短剣を構えるセレナ。
「──…お願い。わたしはお父様を止めに行くの、邪魔をしないで…!! 」
「止めに行くって……ッ」
此方に向けられた切っ先に怯んだ二人は、同時に一歩後ずさる。
いったい何なんだこの女は
侯爵の娘でありながら、いつまでも訳のわからないことを言って抵抗する…。
「…っいい加減にしてくれよお嬢様!なんで止めなきゃいけないんだよ、…なんで狼を助けようとするんだよ!」
「僕たちは長官から、あなたを家まで送るように言われています。行かせるわけにはいかない…!! 」
目の前で剣を構えるセレナに対して二人は声を荒げた。女の剣にいちいち怯えてはいられない。
「早くそれを…返してください!! 」
とにかく短剣を奪い返そうと、彼等はセレナにつめよった。