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銀狼
第11章 儚き運命
銀狼の濁ったふたつの眼が光を放ち、天地に轟く咆哮をあげると…
それを合図に狼達は一斉に兵士に襲いかかったのだった。
───
「──…ハァっ、不味いです!隊列を乱され兵が散り散りに……ッッ」
「動揺するなー!化け物がいることは分かっていた筈だ!訓練通りに行えーー!!」
彼等の持つ銃の弱点は、一度撃てば弾込めに時間がかかることである。
それを補うのは隊を組んでの集団戦法。
だが、異質な獣の存在がそれを不可能にしていた。
「…っあ…!! また来たぞよけろ!」
高く跳躍した銀狼は隊列を掻き回すように人間達の間に降り立つ。
巨大な身体と長い尾を回転させ周りの人間を蹴散らした。
悲鳴をあげて銃を構えた男は
その声が止む間もなく喉を喰い切られる──。
そして銀狼は時を見計らって間合いをとりながら後退し、他からの銃弾をかわした。
それを狡猾に繰り返す銀狼の牙は、兵から冷静さを剥ぎ取り混乱させるのに十分であった。