この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
銀狼
第3章 銀狼
銀狼に見付かった瞬間、セレナは体重が軽くなり、周りの音がうつろになったような錯覚に陥る。
そんな彼女の目に、更に追い討ちをかけるように見えてきたのは…
崖に空いた穴々からギラリと光る対の目。
その凶暴な視線はあらゆる穴から次々に現れると、草むらに隠れるセレナ一身に注がれていた。
「…こ…、ここは…っ」
なんてこと…
わたしが来たのはよりによって、狼の巣窟。
「──…さてどうする?」
銀狼は狼達にではなくセレナに問い掛ける。
「今から必死に此の場から逃げ出してみるか…?
逃がす気はないがな」
「…っ…!! 」
「…それとも私に命乞いでもしてみるか」
「い…命乞い…!? 」
……フッ
「許す気もないがな……」
男の表情は今、まさに
獲物をいたぶる無慈悲な狼であった。