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銀狼
第5章 逃走

当然泳ぎなど知らないセレナは、こんなところで離されたら溺れてしまう。

それを承知の上で敢えて、男は意地悪く笑うのだった。


「離せと言うのは…娘、お前であろう?」

「──…!! 」

「…やはり死ぬのは嫌か。だからそうやって、憎い私にしがみつくのか」


試すように脅すように

彼女の矛盾を指摘する。

確かに…死んでしまいたいと、そう言ったのはセレナ自身だ。

そんな彼女が、無理やり処女を奪ったこの憎い男に今、必死にしがみついている──。



「──…それでいい」


「……んっ…!! 」


「そのまま私に掴まっていろ…」



滝壺近く、渦巻く水の中

銀狼の指がセレナの身体を這いはじめる。




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