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銀狼
第6章 獣の愛
屋敷の食事ではいつも何かしらの果物が添えられる。そんなセレナですら初見なのがこの果実だった。
怪しいのは勿論だが、空腹を満たすためには致し方なく…。
緑色の厚い果皮を剥いて、柑橘系の酸味を香りで感じた後、中の白い実を恐る恐る口にする。
「───!! 」
──酸っぱい!!
それに、苦い…ッッ
「…ッ……!!…な、何よこれ!? 」
食用かと思いきや、それは酸味が強すぎてとても食べれた物じゃない。
その酸っぱさ…舌が痺れるほど。
“ なんで…!! こんな物を入れるのよ! ”
セレナはまたもや騙されたように感じた。
慌てて布に手を突っ込み、口直しにパンを頬張る。
──パンの味はいたって美味であった。