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略奪貴公子
第2章 見初められた花嫁
「もし、ここで俺が……」
「……」
「俺が今ここでお前を女として奪ったら…
お前を全ての重荷から解放してやれるが?」
「──…叩くわよ…、アドルフ」
「……だよな?嫌だろ?なら他にもう手はねぇ」
アドルフは笑った。
彼女の頬をつたう涙を拭いながら。
「でも……人形にはなるなよ」
「──…」
「そのままでいろ」
そのままで…
今のままでいてくれ。
バリトンの声が囁いた。
いつの間にか、彼も声変わりしたんだわ。
囁かれたレベッカはそんなことを考える。
「──レベッカ」
「……っ」
....
アドルフは彼女の身体の代わりに
その桃色の唇を奪った。
「…お前の初めては、俺が奪った」
「………」
「…良かったな、おっさんじゃなくてよ」
「──ええ」
ファーストキスは、別れのキス。
「……ありがとう」
彼女にとって、サンザシが…ただの花ではないように、アドルフも単なる幼なじみなどではない。
この日の彼の唇を
彼女は決して忘れないだろう──。
──…