この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
略奪貴公子
第12章 怪盗の正義
普段の反抗心をむき出すレベッカと、今の素直なこの姿のギャップのせいで、よけいに愛らしく見えてしまう。
それほど衛兵が怖いのか
ここで彼等に捕まれば、二人の素性がばれ…そしてモンジェラ家の公爵夫人が、ブルジェ伯爵と舞踏会に来ていたことがばれてしまう。そのせいか。
「クロード……ねぇ…どこなの? わたしたちは何処にいるの…?目を、開けては…いけないのですか?」
「──まだです」
「……っ…そんな」
「それほど今の状況が怖いですか?」
「……え?ええ」
「捕まれば自分が公爵夫人だと知られるから?」
「……! それもあります、でも」
「……」
レベッカは、彼の服を掴む手に力を込めた。
「でもあなたが捕まってしまうことの方が…怖いです」
「──…!」
「…っ…まだ…ダメ?」
「………。フッ」
「どうして?まだそんなに…危険なの…!?」
「ええ危険です。……だから、まだ」
「いつまでこうして閉じているの…!?」
「──…そのまま…。
そのまま、ずっと目を閉じていなさい」
「──…!」
クロードの唇の感触が、レベッカの唇に伝わる。
驚いて開きかけた彼女の目だが、仮面ごしに彼の手に塞がれて視界は真っ暗のままだった。
まだ
開けるな
「クロード…っ」
見てはならない
まだ危険だ──危険すぎる
私の欲に火をつけたのは
他でもない貴女なのだから──。