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略奪貴公子
第12章 怪盗の正義
クロードは隠れる場所を探していた。
身を潜める場所──
「…おや」
いい所を見つけた
クロードの視界に、隠れるに丁度良いものが入ってきた。
それは馬車だ。
それは馬が繋がれていなければ、馬を操る従者もいない。
クロードは馬車の側面にぴたりと身体を近づけて中を確認すると、速やかに扉を開けて身を滑り込ませた。
その馬車は小綺麗で使われた形跡もあまりない。
馬も繋がれていないのだから…誰かが乗ってきたわけでもないだろう。
“ バイエル伯の持ち物か…? ”
クロードはそう判断した。
「……??」
夜道を逃げていたクロードの動きが止まり、明らかにどこか室内に入った。
…なのにどこに入ったかすらわからないレベッカは不安をつのらせるばかりだ。
「クロード…!…今は何が起こっているの…?」
「ハァ……ハァ……」
呼吸を整え、彼は改めて腕の中の彼女を見る。
自分の言いつけを素直に守り
いまだに固く目を閉じて…
そして不安げに胸元のコートを掴んでくる
「──…」
そうだな…確かに私は
《 こんなときでも 》意地が悪い
こんな時でさえ、欲情するのだから……
本当に救えない、悪党だ