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略奪貴公子
第13章 目をトジ 声をヒソメテ
まだ、開けるな
「──…っ」
そう低い声で囁かれ、レベッカは真っ暗で不安な視界の中、ただ息を飲んだ。
クロードの唇が彼女の柔らかい唇に押し付けられ、咥え込むと、彼女の肩がますますこわばる。
「…ふ…っん…//」
こんな時に…どうして?クロード
「ああ…何故…こんな状況で私は…」
どうしてこんなことをするの…?
「何故…あなたの唇を奪いたくなるのか…」
彼女が心の奥で問いかけ
まるでその問いに答えるかのように、クロードが口付けの合間で囁く。
視界を奪われた彼女に聞こえるのは戸惑う自分と、そして彼の息づかい──。
その時、馬車の外から別の音が耳に届いた。人の声と足音だ。
「……っ」
静かにしないと見つかってしまう。見つかれば後が無いとわかっているから、気が気ではない。
「この道にもいないか、どこに消えた!?」
「植え込みには隠れてないのか?」
「どうだろうな、こう暗いとよく見えない」
外の彼等は手に持つ松明(タイマツ)で注意深く辺りを照らしながら進んでいた。
その足音が馬車のすぐ横まで迫っている。
「……!」
心臓が止まるかというほどの緊張のなかで、レベッカは息を殺し、通りすぎるのを待った。
カツ カツ カツ カツ
.....ピタ
“ 止まった…? ”
しかも、馬車の真横で──
“ 気づかれたの…!? ”
声に出すことが出来ない状況でレベッカは彼の名を心のなかで叫ぶ。
クロード…!
捕まる…捕まってしまう
クロードが捕まってしまう…!
そんなの絶対にいや…!
「‥‥ッッ」
肩を寄せてガタガタと震えて、祈るようにクロードの服を握っていた。